移植治療について

血縁ドナー提供の流れ

「血縁ドナー候補者」への初めての連絡

血縁ドナー候補者には、患者さんやその家族、医師、造血細胞移植コーディネーター(HCTC)などから連絡があります。そのとき、血縁ドナー候補者は患者さんの病気を知っている方、知らなかった方など様々だと思います。家族が病気であることは知っていても、移植が必要で自分がドナーになるかもしれないことは青天の霹靂である方がほとんどです。

ドナーが何をするのか、知らなくて当たり前です。まず病院で移植コーディネーターや医師などに会い(遠方など特別な事情がある方は手紙や電話などの場合もあります)説明を聞いてください。

「血縁ドナー候補者」への説明

「血縁ドナー候補者」がHCTCや医師に会うと、移植とは何か、どうして兄弟など血縁の家族に連絡がきたのか、もしドナーになったら何をするのか、何日ぐらい入院するのか、費用はどうなるのかなどを説明してくれます。このとき、初めて聞く内容も少なくないと思います。

HCTCや医師は、「血縁ドナー候補者」から質問したり意見を言ったりしてほしいと思っています。そして、この時点での意思確認が行われます。

ドナーになるにはHLA型の検査が必要となるので、「まずは検査をしてから考えます。」と言われる方も珍しくありません。しかし、HLA型が患者さんの治療に最適であった場合、断ることが出来なかったという過去の報告があります。

HLA型が一致しているかどうかは、患者さんのその後を左右する重要な要素です。患者さんやご家族、医療者だけでなく、ドナー候補者自身もHLA型の一致がわかると、無理をしてでもドナーになろうとすることがあります。そのため、ドナーになることのリスクや何をするのかを知った上でHLA型の検査をすることをお勧めします。また、この時点でドナーになることが適切でないと言われる場合があります。ドナー候補者が妊娠中であったり、病気をお持ちであったりする場合などです。詳しくは骨髄バンクに登録するための条件の項目をご覧ください。

HLA型の検査

「血縁ドナー候補者」がドナーになる意思を示された場合、HLA型の検査を行う事になります。これは血液検査や綿棒で口の中の粘膜をこすったりする検査です。血液検査は医療機関に来ていただき実施します。綿棒で口の中の粘膜をこする検査は、郵送していただくことができますので、ご自宅でも実施できます。検査結果は、施設によって異なりますが、数日から数週間程度でわかります。

検査やその後にかかる費用は全て患者さんが負担します。患者さんと血縁ドナー候補者が生計を一にしない場合、血縁ドナー候補者及びそのご家族に費用が発生することはありません。

HLA型が一致していた場合

「血縁ドナー候補者」のHLA型が一致していた場合、そのお報せがあります。この時点でも意思確認が行われます。

ドナーになる意思がある場合には、次に健康チェックを実施します。病院に来ていただき、身長・体重測定、体温・血圧・脈拍・血中酸素濃度測定、血液検査、心電図、レントゲン撮影、肺機能検査(採取方法による)、腹部エコー検査(必要時)などを行います。これは過去のドナーさんにおこった副作用症状などから必要だと考えられた検査です。血縁ドナー候補者の個別性に合わせて、追加の検査を実施する場合もあります。

健康チェックの結果説明

健康チェックの結果が出ると、医師から説明があります。結果として、ドナーの適格性がある、つまりドナーになることができる場合に、もう一度意思確認があります。そこで「ドナー候補者」がドナーになる意思を示された場合に、ドナーさんのご都合やご希望、患者さんの状態によって採取方法や採取日程が決定されます。

採取

造血幹細胞の採取方法が2種類(骨髄採取・末梢血幹細胞採取)あります。

骨髄採取

骨髄液を採取する方法です。通常、骨髄液の採取は全身麻酔下において腸骨という骨盤の骨から骨髄穿刺針を用いて採取されます。全身麻酔やあらかじめ自己血採取が必要であり、ドナーの負担が大きいことが挙げられますが、他の移植に比べて、移植実績が多いという利点があります。

末梢血幹細胞採取

全身をめぐっている血液(末梢血)中に存在する造血幹細胞を採取する方法です。

通常、造血幹細胞は骨髄にあり、末梢血中にはほとんどありません。そこで、末梢血中の造血幹細胞を増やすためにG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を投与し、骨髄から末梢血中に流れてきた造血幹細胞を、血球成分分離装置を使って採取します。

採取の際にドナーの全身麻酔が不要であることなどが利点ですが、投与されるG-CSFによる長期の安全性が不明であることなどが欠点として考えられます。また、患者さんにとっては、骨髄移植に比べて慢性GVHDの頻度が高くなることが知られています。

採取後の健康診断

採取入院が終わると、約1~4週間後に一度受診することになります。採取に伴う副作用などの確認のためです。ここで異常がなかった場合、ドナーとして通院していただくことは終了となります。しかし、この後も体調の変化を感じる場合があります。また、ドナーとしての責任や役割を背負い続ける方もいます。そのため、もし不安になったり、気になる身体症状がある場合には遠慮なく医療者へ伝えてください。ご相談にのったり、必要な検査を行ったりします。

造血細胞移植コーディネーター(HCTC)のこと

HCTCは、造血細胞移植という治療が円滑に進むために必要な調整と支援を行う専門職で、患者、家族、ドナー、医師などの中で、常に中立的な立場にいます。

患者さんの治療のことやご家族の支援ももちろん考えていますが、ドナーさんの健康や自由意思の尊重も重んじています。そのため、ドナー候補者となった方に無理にドナーになることを勧めたりすることはありません。

ドナーになるとはどういうことなのか、何をするのか、その後の影響はどうなるのか、患者さんは移植をしてどうなるのかなどの説明を行います。

ドナーさんやご家族が、皆さんで決められるようご支援を行います。ドナーになった場合に不安な気持ちを話したり、ドナーにならなかった場合の気持ちをお話したり、その後もご連絡いただいて構いません。また、ドナーさんのご家族の支援も行っています。お気軽にご相談してみてください。