移植治療について

移植コーディネーターについて

移植コーディネーターとは

造血細胞移植が行われるためには「造血細胞を提供する人(ドナー)」の存在が欠かせません。そのドナーと移植を受ける患者さん、そして双方に関わる医療チームを適切につなぎ、関係者が一丸となって移植医療を円滑に行えるように調整役となるのが移植コーディネーターです。

移植コーディネーターの種類

移植コーディネーターは大きく2種類に分類され、両者は立場を違えて活動します。

1.骨髄バンクコーディネーター(日本骨髄バンク)

骨髄バンクコーディネーターは、日本骨髄バンクに所属する移植コーディネーターです。ドナーの確認検査や採取を行う病院の関係者と連携することで、ドナーの善意を患者さんの待つ医療現場へ適切に届けられるよう活動します。骨髄バンクドナーとそのご家族を支えるため、確認検査を予定する時点から採取(提供)終了後に至るまで継続的に寄り添います。

2.造血細胞移植コーディネーター(HCTC : Hematopoietic Cell Transplant Coordinator)

HCTCは、患者さんの移植とドナーからの造血幹細胞採取が行われる医療現場で活動する移植コーディネーターです。院内、院外の関係者と連携することで、病院に来られた患者さん、骨髄バンクドナー、血縁ドナーと各々のご家族を継続的に支えます。

患者さんの支援:移植適応と判断された時点から移植後に至るまで総合的な支援を行います。

骨髄バンクドナーの支援:採取病院でドナーを迎え、採取前健康診断〜採取(提供)終了後に至るまで、骨髄バンクコーディネーターや移植病院と連携しながら病院内におけるドナーの医療過程を支えます。

血縁ドナーの支援:患者さんの移植を行う病院でドナーを迎え、ドナー候補に選ばれた時点〜採取(提供)終了後に至るまで総合的な支援を行います。

造血細胞移植に関わる移植コーディネーターの種類と特徴

種類(名称) 所属 支援の対象
骨髄バンクコーディネーター 日本骨髄バンク 骨髄バンクドナーとその家族
造血細胞移植コーディネーター(HCTC) 移植/採取病院 患者、ドナー(骨髄バンクドナー/血縁ドナー)、各々の家族

1.骨髄バンクコーディネーター

骨髄バンクコーディネーターは、血のつながりの無い見ず知らずの患者さんに自分の造血幹細胞を提供して下さるドナーさんのサポートをしています。

ドナーさんは「人の役に立てるなら…」と、献血等の機会に登録されます。

ある日突然「ドナー候補者に選ばれました」という通知が自宅に届きます。登録してすぐの事もあれば、時間がかかる事もあります。

ドナーさんは年齢・性別・家族状況・仕事等、一人ひとり違います。

ポジティブな気持ちの方ばかりではありません。「まさか選ばれるとは思っていなかった…」という方もいれば、気持ちはあっても「怖さ」「心配」「不安」等から悩んだ末に辞退される方もいます。

「コーディネートを希望する」と担当の骨髄バンクコーディネーターより連絡が入ります。

担当の骨髄バンクコーディネーターはドナーさんの状況を確認したり理解に合わせて説明し、必要な情報を提供します。

どんな方でも初めての事は「心配・不安」があります。

担当の骨髄バンクコーディネーターはドナーさんがご自身の気持ちをしっかりと確認出来る様に、自由意思を尊重しながら対応します。決して無理はしないで下さい。

わからない事や心配な事は、何でも気軽に担当の骨髄バンクコーディネーターに聞いて下さい。

コーディネートの流れは「日本骨髄バンクスペシャルサイト」の骨髄提供のまでの流れも参考になります。

 提供のリスク

骨髄バンクのドナーになるという事は、本来必要の無い医療行為を受ける事です。ドナーさんは健康な方です。「ドナーのためのハンドブック」を読んでも漠然としかイメージ出来ない方も沢山います。採取などの医療的な事は医師にも聞くことができます。

提供にはリスクがあります。採取後「痛み・痺れ」といった合併症や後遺症が残る事もあるかもしれません。造血細胞の提供は100%安全ではありません

 家族の同意

骨髄バンクではドナーさんの提供意思と同様にご家族の同意も大切にしています。どんなに気持ちが強くても家族の同意がなければコーディネートを進める事は出来ません。

ご家族の中には「良い事」とわかっていても「何かあったら…心配」、「気持ちは尊重したいけど、本心はやめて欲しい」など、葛藤もあります。この様な温度差から家族内で不和が起きてしまう事がしばしばあります。

心配しないご家族はいません。早い段階から十分な話し合いをお願いしています。

詳しくはドナー候補者のご家族へ(日本骨髄バンク)(PDF) をご覧ください。

 職場の理解

ドナーさんは多忙です。家族の同意同様、職場の理解もとても大切です。コーディネートの早い段階からお話頂ける様お願いしています。

詳しくはドナー候補者の職場の皆さまへ(日本骨髄バンク)(PDF)をご覧ください。

 ドナーさんの自覚

「骨髄バンクのドナーになる」という事は簡単な事ではありません。

ドナーさんには、家族の同意の確認や職場(学校)への説明の他、スケジュール調整、健康管理など自身でやって頂かなければならない事があります。

改めてドナーの自覚が必要になります。

ドナー選定~採取、体調管理

正式にドナーさんに選ばれ提供が決まると、次は検査や自己血採血で採取施設への通院が必要になります。また、今まで以上に体調等に注意して頂かなければなりません

インフルエンザや風邪の流行する時期は特に大変です。実際に体調を崩したりケガをされる方もいらっしゃいます。

中には新たな心配や不安を感じる方もいらっしゃいます。

採取が近づくと担当の骨髄バンクコーディネーターは定期的にご連絡します。何かあればすぐに教えて下さい。ドナーさんの状況や体調は患者さんの移植に影響します

 信頼関係

骨髄バンクコーディネーターは安全なコーディネートの為にドナーさんとの信頼関係を大切にしています。立ち入った事をお聞きする事もありますし、時には厳しい対応をさせて頂く事もあります。ご希望に応えられない事もまだまだ沢山あります。コーディネートは万能ではありません。しかし、そんな時でもドナーさんに寄り添いながら進めていきます。

コーディネートの終了

順調に進んでいても、色々な事情で進められなくなってしまう事があります。全てのコーディネートが提供に至るわけではありません。

どんな時でもドナーさんの存在は患者さんの闘病の大きな支えになっています。

フォローアップの終了

提供後、ドナーさんは日常生活に戻って行きます。担当の骨髄バンクコーディネーターは暫く定期的にフォローします。健康上問題がなければフォローも終了し、ドナーさんとの関係も一旦終了になりますが、ご心配な事があれば遠慮なくいつでもご連絡下さい。

骨髄バンクコーディネーターの気持ち

ドナーさんから「提供して良かった」「いい経験をさせて頂きありがとうございました」という言葉を頂く事があります。骨髄バンクコーディネーターとして一番嬉しい言葉です。

この言葉をいつも聞けるように、ドナーさんの気持ちや出会いを大切にコーディネートしています。

2.造血細胞移植コーディネーター(HCTC : Hematopoietic Cell Transplant Coordinator)の役割

患者さん(ご家族)の支援

HCTCは移植治療を必要とされる患者さんとご家族の相談窓口です。移植の前後にわたって患者さんとご家族が必要とする支援を受けられるよう、院内外にわたる多くの関係機関、専門職と連携・調整を行います。

HCTCの制度や活動の詳細については日本造血細胞移植学会 HCTC委員会をご参照下さい。

相談内容の例

 1) 移植治療の流れ、方法、合併症、各移植細胞の特徴などの説明

造血細胞移植は治療におけるリスクが高く、移植の際の合併症・副作用によってQOLを下げる可能性もあります。この治療を受けるか否か決断することは、多くの患者さんにとって最も大きな悩みのひとつでしょう。

白血病などの病と闘いながら移植治療のことを冷静に考え、決断していくことは難しいことだと思います。加えて、疾患や移植治療は、専門性が高くて難しい、周囲に同じ治療を受ける人が少ない、クリーンルームでの生活をイメージしにくいなどの理由から十分に理解することが難しい面もあります。しかし、ドナーを探すには時間を要し、さらにご自身の準備を整える必要もあるため、移植適応と判断された早期に、移植を受けるか否かを選択することが求められます。

そこで、HCTCは移植治療全般について患者さんの質問にお答えしながら説明を行い、患者さんの悩みや価値観などを聞きながら、患者さんご自身が移植を受けるか否かを納得のうえで決断いただけるように支援します。

 2) ドナーを探すための説明・手続き

移植が必要と判断された患者さんは、まずドナーを探す必要があります。HCTCは家族内におけるドナー候補者の選択や、骨髄バンク・さい帯血バンクを利用する際に必要な手続きとその流れ、費用、ドナーの準備状況などを説明します。また、骨髄バンク、さい帯血バンクなど、ドナー側の関係者と連携することで、患者さんのもとに確実に移植細胞が届けられるよう準備を整えます。

 3) 移植前の準備と移植後の生活の相談

移植後、患者さんは体力、気力、免疫、食欲の低下が著しく、通常の生活に戻るまでに長い時間を要します。そのため、移植前から移植後の生活をも見据えて早々に準備を開始することが肝要です。HCTCは患者さんにとって必要な準備をいつ、どのように進めることがよいのかについて相談を行い、移植中、移植後に至るまで患者さんが直面した問題を解決できるよう相談を継続します。また、患者さんの治療、生活を支えるため、院内外の多くの専門職や関係者と連携します。

  1. 体の準備
    移植前には、歯、肛門など感染源の治療、禁煙、[リハビリ]の開始、[妊孕性の温存]などの準備が必要です。移植時期は、病気の状態や移植細胞の準備(ドナーや幹細胞の種類によって準備期間が異なります)によって様々ですので、検査時期や併存疾患の治療などについて、移植担当医に早めに相談をしましょう。
  2. 移植病室(クリーンルーム)に入る準備
    移植治療中、患者さんは感染を予防するために移植病室へ入室します。移植病室には持ち込める物、食事、日課などについて多くのルールがありますので、早めにオリエンテーションを受けましょう。また、生着までの約1ヶ月間を閉鎖的な環境で過ごすことは精神的にも苦しいことだと思いますので、移植病室を事前に見学し、イメージを掴んでおくこともよいでしょう。
  3. 移植にかかる費用の説明
    移植治療は保険診療ですが、HLA検査や抗HLA抗体検査、ドナーにかかわる費用の一部など準備段階では自費請求になる検査費用も含まれるため、移植までにどのくらい費用がかかるのか不安になることも多いと思います。HCTCは治療に必要な費用の見通しを説明し、必要な方には移植に関連する助成制度や[公的な制度]をご紹介します。また、移植細胞の搬送費は療養費(移送費)として保険者に請求できますので、その手続きについても説明します。
  4. 通院体勢の準備
    移植後、長期にわたって通院が継続されます。移植のできる病院は限られるため、遠方まで通院する必要のある方もいらっしゃいますが、退院直後は筋力の低下も加わり、1人で通院することが困難になる場合もあります。移植病院まで通院できる体勢を整えてから移植に臨まれることをお勧めします。
  5. 日常生活全般
    移植後、不安定な体調を管理する中で、食事制限や清潔な環境の保全、服薬など、患者さんご自身が努力しなければならないことが多くありますが、自宅における療養環境は患者さんによって様々ですので、ご自身にあった方法を工夫することも必要です。移植前から退院後の生活をイメージし、自宅療養の準備を進めておけるよう、早めに相談を始めましょう。また、移植の際の合併症・副作用を来たしたことによって、生活・体調を全て1人で管理することや、自らの意思、希望を表明することが困難になる場合がありますので、ご家族など、身近なサポーターに協力を求めることも重要です。ご友人や闘病仲間、職場などが心の支えになることや、訪問看護を利用できる場合もありますので、人とのつながりを作っておくことも移植前の大切な準備のひとつです。
  6. 仕事や学業の調整
    移植後の復学、復職を可能な限りスムースに行えるよう、移植前から復学、復職の時期や方法、環境について、職場や学校と相談を始めましょう。

ドナー(ご家族)の支援

ドナーとなる方にとって、慣れない入院生活や病院での処置、手術に不安を感じるのは当然のことです。また、ご家族が「自分がドナーになる方がどれだけ気が楽か…」とドナー本人以上に心配や悩みを抱えていることも少なくなりません。HCTCは、採取に関連する不安や悩みを少しでも軽減いただけるよう、外来、入院に関わらず、継続的にドナーとそのご家族を支援します。

採取のための通院/入院をしている間、痛みや吐き気、めまいなど具合が悪いと感じた場合には、必ず医療者にご申告下さい。「私は健康なドナーだから…」と周囲の患者さんや医療者に対する遠慮や気遣いから不調を我慢したり、無理をして歩いたりすることはかえって危険です。ドナーが採取前と同じように健康を維持したまま、提供の過程を終了されることが、患者さんをはじめとする全ての関係者の願いであることを忘れないでください。

 1) 骨髄バンクドナーの支援

HCTCは採取病院でドナーを迎え、医療現場における支援を行います。一般的には、採取病院において採取前健康診断を開始する時点からドナーの方にお会いし、採取や入院生活、採取準備のためのスケジュール、体調管理などの相談にあたります。また、頂いた造血細胞を確実に患者さんに届けられるよう、移植病院や骨髄バンクと連携します。

2) 血縁ドナーの支援

患者さんの家族である血縁ドナーには、患者さん(家族)を心配する思いの一方で、ご自身の生活(仕事、家庭など)や採取にともなうリスクについて考える必要があり、複雑な感情を抱えてしまう方も少なくありません。患者さんの移植とドナーの採取は患者さんの入院する病院で行われますので、HCTCが患者さんとドナーの間を中立的な立場で仲介、支援し、同じ病院の中でもドナーの安全と権利が十分に守られるよう、体勢を整えます。

HCTCがドナーに関わるタイミングは状況によって異なりますが、基本的にはドナー候補者となった時点から、採取後に至るまで継続的に関わります。

患者さんのご家族がドナーになるための3つの条件、「自発的な提供意思」「健康」「HLA型の適合(一部適合も含む)」、これら全てが揃ってはじめてドナーになることができます。HCTCは、ドナー候補となったご家族の健康状態を聴取するとともに、採取について丁寧に説明し、提供するか否かについてドナー自身がお決めいただけるよう相談を行います。ドナーとしての準備を進める場合には、スケジュール調整や体調の管理など採取に関連した手続きがスムースに進められるよう支援します。

詳細については血縁ドナーのことをご参照下さい