インタビュー

ドナーさんとの見えない繋がりを大切にしながら、再移植に臨みます

2018年9月6日
株式会社ライフサカス取締役・インテリアデザイナー
黒田 朋子さん
疾患名: 急性骨髄性白血病 年齢 39歳 罹患時年齢 32歳

再移植へ向けて治療をはじめる黒田朋子さんにお話を伺いました。

東日本大震災があった2011年、黒田さんにとってはもう一つ大きな出来事がありました。風邪を疑っての受診でまさかの白血病の診断。その翌日から始まった抗がん剤治療。骨髄移植後の強いGVHD、そして二度の再発…。


治療の経緯を教えてください

2011年、震災があったすぐ後の5月に、風邪の症状で病院に行きましたら、すぐ大きい病院を紹介され、急性骨髄性白血病という病気を告げられました。私は「M4」※1という病型で、基本的には骨髄移植を視野に入れた治療をしていくとの説明がありました。

骨髄中の白血病細胞は93%。これは非常に良くない状態で、病気の宣告をされた次の日にはもう、抗がん剤が投与されている状況でした。

すぐに骨髄バンクでのドナー探しも始まり、幸いドナー候補になられる方がたくさんいらっしゃることが分かりました。そこからコーディネートを進めていただき、結果的に骨髄移植したのが2012年3月。移植後はGVHD※2が極めて強く出てしまったために入院が長引き、最終的に退院できたのは2012年10月でした。移植後のGVHDと向き合わねばならない日々が、自分の白血病治療の中では一番のハイライトと言えるほど、とても大変なものでした。

一般的に他のがんと同様に、白血病も5年の経過が一区切りだと言われている中で、「移植からやっと4年を迎えられる」と言っていた矢先、再発していることが分かりました。毎月、経過観察で通院はしていて、前月まで何も異変がなかったのに、突然、どうも再発しているらしい、と。

そこからまたすぐ入院。先生からは再移植をしたほうがいいと言われました。でも、すぐに移植をするのではなく、「まずDLI※3を試すことができないか」とこちらから先生に持ち掛けました。幸い最初にコーディネートされた骨髄移植ドナーさんがDLIを引き受けてくださり、希望通り治療ができて、寛解※4しました。そこからずっと経過観察していて、本当にこのまま治るんじゃないかと思っていたのですが…つい2週間前、またやはり突然に、再発していることが分かりました。

今度こそ再移植を念頭においた治療をしなくてはいけないことが、先週、まさに話として出たという状況です。今はその治療を始める前の準備をしている段階になります。

※1急性骨髄性白血病は、原因となる白血球の種類によりM0~M7までの8つの型に分類され、M4は急性骨髄単球性白血病のことをいいます。

※2GVHDとは「移植片対宿主病」のこと。移植後特有の合併症で、ドナーさんの細胞が患者さんの細胞を攻撃する免疫反応によって起こります。

※3DLIとは「ドナーリンパ球輸注療法」のこと。骨髄提供をしてもらったドナーさんから改めてリンパ球を採取し患者さんに投与する治療法で、骨髄移植後に白血病が再発した場合に実施されることもあります。

※4寛解とは一時的または永続的に癌が縮小または消失している状態。寛解に至ってもがん細胞が再び増え始めたり、別の場所に転移したりする可能性もあります。

ご自身の現在の自覚症状は?

ないです。2年前の再発時もそうでしたが、いつもと何ら変わりがなく。逆に、初発(初の発病)の時はすごく熱っぽかったり、体がだるかったり。いま思えばそういう自覚症状が出てきていると、この病気の場合はだいぶ進行していると言えるのかなと思っています。

これから改めて骨髄バンクのドナーを探されてコーディネートを開始されるのだと思いますが、現在の思いを聞かせて頂けますか?

そうですね、先生からはもう一度骨髄移植をした方が良いと言われています。しかし、2年前の再発時も、そのことをすぐに受け入れられず、自分からDLIを提案したくらいで。

と言うのも、これは言葉にならない感覚的なものですが、初発(初めての発症)の時もコーディネートがうまくいかず、何度も何度も臍帯血移植に切り替えようかという議論が出ていたんです。一旦決まった移植日が私の状態でキャンセルになったり、ということを繰り返し、最終的には骨髄移植ができたわけですが。

何かそこに、いま私の身体に入っているドナーさんとの巡り合わせというか、ご縁というか、そうしたものを強く感じているのです。途中で再発はしたものの、それでも先生が奇跡と言ったくらいDLIで2年という期間を持ちこたえてくれました。また再発してしまいましたが、非常に状態が悪かった最初の段階から約6年、私の体の中で頑張ってくれています。

それはやっぱりドナーさんの何かとんでもない力が私に働いているのかな、と。激しいGVHDが出たことも、今のドナーさんの力がプラスに働いているのではないか、という解釈が私の中にあるのです。

もう一度移植をするとなれば、理論上はこれをゼロにしていくわけで、今のドナーさんの細胞をも叩きまくって細胞をゼロの状態にしてから、新しいドナーさんの細胞を入れるという事なので…。新しくドナーさんになってくれる方がいらっしゃるとしたら、それはとてもありがたいことなんですが、自分の気持ちでは、そこはせめぎあっていると言うか。何とか今のドナーさんの力でもう一度復活できないのかなというのはあって。そこが気持ちとして揺れていますね。

主治医の先生との関係はどうですか?

主治医の先生はいつも優しくて、医学的な自分の考えだけを押し付けるのではなく、まず患者さんがどう思うかを大事にしてくださる方です。私の話や希望とか想い、考え方というのを非常に受け止めてくれる先生です。とても良いご縁で出会って、信頼をしているし、いい先生だなと思っています。その信頼関係のもとに常にいろんな話ができています。

このSTART TO BEをご覧のみなさまにメッセージをお願いします

今、私が再発がありながらも生きていられるのは、まずドナーさんがいてくださったからです。ドナーさんがいてくださるということは、こういう活動があるからこそ。またその活動を支えてくださっている方、ドナーさんのご家族、いろんな方が思いを一つにしないと、こういう事ってできないと思うんですね。そのことには、すごく大きな感謝の心を持っていますし、私自身もその恩恵を受けて今があるので、何か恩返しをしたいと思っています。

ドナーになるのは簡単なことではないと思いますが、でも、こうやって生きられる命がたくさんあるんだ、ということを知っていただきたい。そういうご縁をたくさんつなげていただきたいなと思うので、まずはドナー登録のことや病気のこと、移植を待っている方がたくさんいるということを知っていただきたいと思います。

今日は大変な中、お越しくださりありがとうございました。START TO BEも一丸となって黒田さんを支えていけたらと思っております


このインタビューは、2度目の再発の告知を受けた2週間後。まさに揺れ動く感情の時にお話しいただきました。現在は治療を開始し、周囲の励ましやサポートを受け、「はっきりと、明確に、再移植に向けてネジを巻こうとしています」とおっしゃっています。

骨髄移植は、HLAの型が合うか合わないかだけではなく、患者とドナーお互いの体調管理や日程調整が必要であり、想像以上に大変な治療です。だからこそ、ドナーさんが見つかり移植ができるというのは、奇跡的な「縁」があってのこと。すべてのドナーさんとのご縁を大切にしたいとおっしゃる黒田さんの気持ちが良く分かります。さまざまな「縁」がたくさん集まり、手に手を取って大きな「円」となるよう、我々START TO BEも支援していきたいと思います。

聞き手:古賀真美
記事:石井稔子