移植と移植のフォローアップについて

急性GVHDと慢性GVHDについて

移植片対宿主病(GVHD)

血液がんの基礎知識「移植片対宿主病(GVHD) 」をご覧ください。

 急性GVHD

 1.症状

移植後、およそ100日以内に発病する急性GVHDは皮膚・肝臓・消化管の少なくとも一臓器の障害が存在し、かつ、GVHD様の症状が出る他の疾患が否定されることで診断されます。GVHDの症状は、発熱・体重増加・浮腫・胸水・腹水などの*全身症状*と皮膚・肝臓・胃・腸・骨髄・リンパ組織などの*臓器症状*に分類されます。

症状の現れかたや程度には個人差があります。

移植後にはGVHDだけでなく、移植前処置やさまざまな薬剤の副作用や感染症によって、GVHDによく似た症状が現れることがあります。特に、胃腸症状は、サイトメガロウイルスによる感染症と急性GVHDとの区別がとても重要で、原因によって治療法が異なるために、しばしば胃カメラや大腸カメラによる検査が必要になることがあります。

肝臓の障害の場合は、薬剤の副作用や肝中心静脈閉塞症、ウイルス性肝炎との区別が必要になります。

 2.予防

造血幹細胞移植後には重症の急性GVHDを予防するために、移植をする前から免疫抑制剤が投与されます。GVHDを発症しなければ2ヵ月ぐらいからゆっくりと減量をはじめ、半年程度で中止されますが、GVHDを発症した場合や慢性GVHDに移行した場合は、継続されます。

免疫抑制剤はGVHDに対して強力に効果を発揮しますが、腎障害や肝障害、神経症状、視覚障害、まれに脳症などの副作用を起こすこともあります。免疫抑制剤は、血液中の薬剤の濃度を注意深く確認しながら投与され、投与量や期間は個々の患者さんによって異なります。

3.治療

GVHDの治療には副腎皮質ステロイドが使用されます。急性GVHDによる皮膚症状や発熱には短期間で改善がみられますが、胃腸症状や肝臓の異常の回復には時間がかかることが多いので、焦らずに治療を受けることが重要です。

慢性GVHD

慢性GVHDは患者さんの身体にいったん根付いたドナー由来の白血球により引き起こされます。しかし、詳しいことはまだわかっていません。

移植後、一般的には3カ月以降で、平均して半年くらいしてから症状が出はじめます。慢性GVHDの症状は2~3年継続すると言われていますが、発症後5年以上経過した人の85%は免疫抑制剤などが中止できるまでの回復がみられています。

 1.症状

慢性GVHDの症状は多彩で、移植をしていない人に発症する自己免疫疾患(膠原病)のような症状がさまざまな臓器、部位に現れます。また、GVHD自体やGVHDの治療のために投与する免疫抑制剤によって、抵抗力が低下します。それにより、肺炎や腸炎などの感染症にかかりやすくなります。

 

  1. 皮膚:かさつき、色素沈着、白くなる(色素脱失)、皮膚表面が薄くなる、硬くなる(硬化)、汗が出にくくなる(発汗障害)、赤くなる、ぶつぶつができる(斑状丘疹)
  2. 頭髪・体毛:毛が抜ける、白髪になる
  3. 爪:縦に線が入る、割れる・裂ける・剥がれる、形がいびつになる、薄くなる
  4. 口腔:口腔内の乾燥、口腔粘膜の萎縮・潰瘍・白っぽい線ができる、辛いものがしみる、虫歯ができやすい、口周囲の硬化に伴う開口障害など
  5. 眼:乾燥(ドライアイ)、ざらつき、痛み、充血
  6. 食道:食道の通りが悪くなって飲み込みにくい、つかえる感じがある
  7. 肝臓:肝機能検査値の異常(ALP、AST、ALTの上昇)、黄疸
  8. 生殖器:膣粘膜の乾燥・弾力性の低下・癒着・亀裂、陰部皮膚のびらん・潰瘍・乾燥・ヒリヒリして皮がむけるなど
  9. 肺:息苦しさ、息を吐きにくい、少し動いただけで動悸や息切れがする(閉塞性細気管支炎)
  10. 筋・関節:筋肉の痛み(筋炎)、筋肉がつっぱる、関節が曲がらない(関節拘縮)など
  11. 造血・免疫:血小板減少、リンパ球減少、好酸球増加、自己抗体陽性化
  12. その他:腎機能低下・タンパク尿(ネフローゼ症候群)、心臓のまわりに水が溜まる(心膜炎)、手や足先が痺れる(末梢神経障害)、筋力が低下する(重症筋無力症)

2.予防

口腔ケアや手洗い・マスクの着用により感染予防に注意し、直射日光や入浴の際の洗いすぎなどの刺激を避ける、皮膚は保湿を心掛けるようにしましょう。

早期に発見することも大変重要ですので、定期検診や気になる症状がある場合には早めに対応することが大切です。

適度に運動することや規則正しい生活など、体調を優先しできるだけ体調を崩さないように心がけましょう。

 3.治療

症状が軽い場合は何もせずに様子をみたり、軟膏などで局所療法をすることもあります。

放置すると命にかかわる場合がありますので、ステロイド剤や免疫抑制剤により免疫を全般的に抑える治療がなされます。

症状がさまざまなので、治療は患者さんの症状に合わせて行われます。薬の増量・減量については、主治医の先生とよく相談しましょう。

慢性GVHDは症状が長く続き、治療も長期にわたります。症状と上手に付き合いながら、学業や仕事、家事への復帰を検討する必要があります。