移植治療について

検査値のミカタ2~疾患別~

この記事は、横浜市立大学附属病院 臨床検査部 部長・准教授の山崎悦子先生に寄稿していただきました。

検査値のミカタ1では、「正常値とは何か」「一般的に行われる基本的検査」について解説しています。最初にご覧ください。

血液がん 共通注目データ

LDH:体内のすべての細胞に存在し、細胞の損傷により上昇します。したがって、上昇の程度は組織障害の程度を表すと同時に、特に、肝機能障害や悪性腫瘍などで高値となります。
血液がんにおいては、腫瘍量と相関し(腫瘍量が多ければLDHがより高くなる)、治療効果に伴って低下するなど、治療経過や再発のモニタリングの一項目となることがあります。

血液がん 疾患別注目データ

悪性リンパ腫

「可溶性IL2R (sIL2R)」 は、リンパ腫の腫瘍量や増殖能を反映して上昇することが多く、治療が奏功すると低下し、増加すると再発を疑うなど、治療経過のモニタリングに用います。ただし、リンパ球の活性をみているので、腫瘍以外にもウイルス感染などの炎症があることで上昇することがあります。国際予後指標(IPI)の予後因子は年齢、LDH、日常生活の制限程度(PS)、病期、節外病変数です。また、治療効果や再発などを確認する標準検査はCTやPET-CTなどの画像検査となります。

急性骨髄性白血病

「WT1」 は、 がん遺伝子様の機能を有し、若い造血細胞が増えることに重要な役割を持ちます。特に急性白血病において高い発現が認められ、治療経過に伴い減少、再発に先んじて上昇することから微小残存病変(MRD)のモニタリングマーカーとして使用されています。白血病の原因遺伝子異常に関わらず、発病時に増加していることが多いです。白血病特異的キメラ遺伝子を持つタイプの場合は、モニタリング指標としてキメラ遺伝子も併せて使います。

急性リンパ性白血病

「PCR-MRD」は、診断時に免疫グロブリンないしT細胞受容体遺伝子再構成を見つけ、寛解後にそのマーカーを用いて微小残存病変(MRD)の有無を確認します。この検査は、2019年にモニタリンとして2回までの検査が保険適応となりました。フィラデルフィア染色体陽性など、白血病特異的キメラ遺伝子を持つタイプの場合はキメラ遺伝子mRNAによりモニタリングを行います。

慢性骨髄性白血病

「Major BCR-ABL1 mRNA (IS)」は、慢性骨髄性白血病の原因遺伝子であるMajor BCR-ABL1を国際指標補正値(IS)で表したもので、治療効果判定に用いています。

骨髄異形成症候群

「WT1」は、骨髄異形成症候群のリスク評価に用いられる国際予後判定システム(IPSS)と相関性を示し、骨髄異形成症候群から白血病移行のリスク評価指標として有効です。「フェリチン」は体内に蓄積された鉄分である貯蔵鉄を反映します。輸血依存の場合、体内に鉄分蓄積が増加し、組織へ鉄分沈着を起こし手臓器障害につながります。フェリチン値1000ng/mL以上の鉄過剰症の場合、鉄キレート療法が適応となります。

多発性骨髄腫

「免疫グロブリン(IgG/IgA/IgM)」は、腫瘍性蛋白(M蛋白)の種類により、その増減で治療経過をみます。また腫瘍性以外の正常免疫グロブリンの回復程度も治療効果の参考になります。「血清免疫電気泳動(免疫固定法)」や「血清遊離軽鎖(FLC)比」は治療効果モニタリングに用います。「FLC比」は無症候性骨髄腫が治療の必要な症候性への進展を予測するマーカーにもなります。治療が必要かどうかを判定する項目としては、「貧血(ヘモグロビン値)」や「高カルシウム血症」、「腎障害(クレアチニン値やeGFR)」、「骨病変」などが指標となります。また、国際病期分類(R-ISS)の項目としては、「アルブミン」、「β2マイクログロブリン」、「LDH」、「染色体異常」があります。


血液がんフォーラム2020で山崎悦子先生にご講演いただいた「検査値のミカタ 血液検査結果ってどうみたらいいの?」の動画はこちらでご覧いただけます。

【血液がんフォーラム2020】検査値のミカタ