血液は、酸素を運ぶ・病原体と戦う・出血を止めるといった生命の維持に欠かせない役割を担っていますが、人工的に造ることが出来ません。そのため、病気の治療や手術などで輸血を必要としている患者さんのために、健康な人が無償で血液を提供することを献血といいます。
東京都輸血状況調査結果によると、疾病別では、がん(悪性新生物)の治療に最も多くの血液が必要とされています。
また、日本赤十字社によると、がんを含めた病気などで輸血を必要とする人の数は年々増え、1日平均で、約3,000人もの人が輸血を受けている計算になります。輸血は、場合によっては何リットルも必要となることがあり、年間で、約508万本の血液製剤が医療機関に供給されているのです。
しかし、献血をすることができる年齢、体重や血圧は下記の通り国の基準で決まっており、少子高齢化や生活習慣病の増加に伴い、献血者数の著しい減少が危ぶまれています。また、献血された血液には有効期限があり、長期保存することもできません。
献血の基準
系統 | 成分献血 | 全血献血 | ||
種類 | 血小板成分献血 | 血漿成分献血 | 400mL | 200mL |
1回の献血量 | 600mL以下 | 600mL以下 (循環血液量の12%以内) | 400mL | 200mL |
年齢(※) | 男性:18~69歳 女性:18~54歳 | 18歳~69歳 | 男性:17~69歳 女性:18~69歳 | 16歳~69歳 |
体重 | 男性45kg以上 女性40kg以上 | 男女とも50kg以上 | 男性45kg以上 女性40kg以上 | |
最高血圧 | 90mmHg以上 | |||
血色素量 | 12.0g/dL以上 | 12.0g/dL以上 (赤血球指数が標準域にある女性は11.5g/dL以上) | 男性:13.0g/dL以上 女性:12.5g/dL以上 | 男性:12.5g/dL以上 女性:12.0g/dL以上 |
血小板数 | 15万/μL以上 | - | - | - |
年間献血回数 | 血小板成分献血1回を2回分に換算して血漿成分献血と合計で24回以内 | 男性3回以内 女性2回以内 | 男性6回以内 女性4回以内 | |
年間献血回数 | - | - | 400mL献血と200mL献血を合わせて 男性1,200mL以内女性 800mL以内 |
※65歳以上の方の献血については、献血いただく方の健康を考慮し、60~64歳の間に献血経験がある方に限ります。
今後、現状の献血率が持続すると仮定すると、献血者数は右肩下がりになり、一方、輸血を必要とする患者さんは50歳以上で全体の80~85%の血液が使用されているため、過不足を試算すると2027年には約100万人程度の献血者が不足するということになります。
そのため、血液を安定的に供給するためには、今まで以上に、献血への関心・理解の向上を図るとともに、献血へのご協力をいただく必要があります。
造血幹細胞移植をする際には、患者さんは多くの輸血を必要とします。献血が可能な方には、献血にも是非、定期的なご協力をお願いします。
ただし、骨髄バンクドナーコーディネート開始以降は貧血や検査データに異常値が出る可能性があり、また、提供時期が早まる可能性もあるため、控えたほうが良いとされています。
献血ができる場所の検索や、献血についてもっと知りたい方は日本赤十字社「献血する」ウェブサイトをご覧ください。