具体的な支援の進め方
従業員が血液がんになった際、治療と仕事を両立させるために事業所側がどのように支援をして行くか、具体的な進め方の一例を見て行きましょう。
- 病に罹患し就労を望む労働者が、現在の症状、入院や通院の必要性とその期間、治療の内容とスケジュール、業務や通勤に影響しそうな症状、副作用など、仕事と治療の両立支援に必要な情報を収集し、事業者に提出
↓ - その情報をもとに、事業者が産業医に情報を提供。就業継続の可否や業務上に必要な配慮に関する意見を聴取。(産業医がいない事業所の場合は本人の同意を得て主治医に意見を聴取)
↓ - 事業者が主治医と産業医の意見を勘案し、また本人との十分な話し合いを経たうえで就業継続の可否を判断
↓ - 就労継続が決まったら、疾病の状況、必要な就業上の措置と配慮、引継ぎ内容、フォローアップ内容などを明記した「両立支援プラン」を作成。時間の経過によって変化する病状に応じて内容を見直す
↓ - 長期の休業が必要だと判断した場合は休業開始前の対応、休業中のフォローアップを事業者が行い、主治医や産業医の意見、本人の意向、復帰予定の部署の意見等を総合的に勘案して復帰の可否を事業者が判断。「職場復帰支援プラン」を作成
事業者が利用できる支援制度、支援機関
利用可能な支援制度
- 人材確保等支援助成金 (雇用管理制度助成 コース)(仮称) ※平成30年4月~
- 人材確保等支援助成金 (中小企業団体助成 コース)(仮称) ※平成30年4月~
- 障害者雇用安定助成金 (職場定着支援コース)
- 障害者雇用安定助成金 (職場適応援助コース)
- 障害者雇用安定助成金 (障害や傷病治療と仕 事の両立支援コース)
利用可能な支援機関
- 産業保健総合支援 センター
- ハローワーク
※「治療と仕事の両立支援のガイドライン」の詳細は厚生労働省のサイトを参照してください。主治医の意見を求める際の様式例、「両立支援プラン」や「職場復帰支援プラン」の作成例なども掲載されています。→事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(厚生労働省)
※仕事と治療の両立支援の取り組み事例はこちらを参照してください。→治療と仕事の両立支援ナビ(厚生労働省)
事業所の規模や業績によっても対応できる対策は様々かもしれません。しかし能力と意欲ある従業員が就業を継続することは、事業主にとっても有益です。安易に就業を禁止せず、配置転換や時間の短縮など必要な措置を講じて就業の機会を失わせないことが重要であることは言うまでもありません。「日本人の2人に1人が生涯でがんに罹患する(※)」時代に、いまから備えておきましょう。
※国立がん研究センター がん対策情報センターによる推計値(2007年)