国立がん研究センター「がん登録・統計」によると、日本で2013年に新たに診断されたがん(罹患全国推計値)は862,452例、そのうち15~64歳のいわゆる「働く世代」は約3割の251,009例を占めています。また、医療の進歩とともに、「がん=死」という時代では必ずしもなくなってきた昨今、こうした「働く世代」のがん患者さんが、いかに仕事を辞めずに働き続けるか、という「就労」の問題が注目されるようになってきました。
仕事を続けるということは、がん患者さんにとって単なる「収入」というところを超えて、生きがいであったり、生活の満足度を上げるもの、自分の価値を見出す場所、社会との繋がりといった様々な意味を持ちます。がん種や治療にもよりますが、多くの場合、治療をしながら仕事を続けていくことが可能です。まずは、診断された際に焦って仕事を辞めないことが最も重要となってきます。
血液疾患の治療に伴い、長期間休職をせざるを得ない事もあります。復職にあたっても回復がゆっくりであることから、最初は日数を減らしたり、通勤時間を調整したり、といったことも念頭に置く必要があります。患者さんの中には、長期間休職せざるを得ないことに対して申し訳ないと思うことがあり、自ら退職してしまう方もいらっしゃいます。また、職場には話せずにいる場合もあります。しかし、多くの場合は、職場の中で利用できる制度を上手く使うことによって、職場復帰や勤務が継続できることも十分にあります。申請は、本人からであることが原則とはされていますが、2人に1人ががんになる今の時代には、疾病を抱えながらも働ける環境を整えることが求められています。職場内の制度を見直すきっかけにもしていただけると良いでしょう。血液疾患を抱える従業員が事業所内にいる場合の対応が分からない時、産業医がいる場合は、相談されると良いでしょう。
仕事と治療を両立させるためには、体調と治療スケジュール、治療は入院か、外来なのか、また、予想される副作用や治療中の注意点など全てを加味して考える必要があります。患者さんは、医療機関の相談支援センター(がん情報サービス)や地域連携室、企業の産業医や就労支援コーディネーターなどに相談しながら自分に合った働き方を考え、職場に伝えるようにされると思います。大切な従業員を支える事業者としても支える側としてサポートしていきたいものです。
がんと仕事について、国立がん研究センター(がん情報サービス)にQ&A形式でまとめられています。こちらもぜひ参考にしてください。