造血幹細胞移植では、生着後も白血球の数や機能が回復途上にあるため、非常に感染しやすい状態にあります。長期にわたって感染症に注意が必要になるほか、急性GVHDも乗り越えなければなりません。また、移植を行うための移植病棟で生活するというのは、多少なりとも環境の変化に適応するための時間が必要になります。
入院生活から退院後の生活に至るまで、患者さん自身も治療に参加できるポイントもあります。医療者と一緒に移植を乗り切りましょう。
退院・自宅での生活でのこと
造血幹細胞移植後、免疫力が完全に回復するには、約1~2年間かかると言われています。移植が終了して退院することになっても、しばらくは外来通院を続ける必要があります。
退院直後はまだ、患者さんの免疫機能は十分ではありません。入院中に比べれば、感染症にかかるリスクは低くなっていますが、しばらくは、感染症に十分注意を払わなければなりません。
また、入院中は医師や看護師にすぐ言える、聞ける状況にあり、ちょっとした変化も医療スタッフが観察してくれていますが、退院後は自分の体調の変化に目を向け、異変に気付き、早期に対応ができるような心がけが大切です。
熱は1日1回測るようにし、市販の風邪薬や解熱剤などは、医師が許可したもの以外は使用しないようにしましょう。
退院後、自宅での生活を送る中で、体調が悪くなると、しばらく様子を見ていいのか、すぐに受診をしたほうが良いかと悩むことがあるかもしれません。
目安として、次のような症状が認められた場合は、医療機関(可能であればかかりつけの病院)をすみやかに受診するようにしましょう。また、主治医には体調不良などの異変を感じた時にどのように対応したらよいかを、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。