私たちの身の回りには、細菌やウイルスによって引き起こされるさまざまな感染症があります。これらを予防するための一つの手段がワクチンです。ワクチンは、感染症の原因となる細菌やウイルスの病原性(毒性)を弱めたりなくしたりして、体にとって安全な状態にしたものです。
それを体内に入れることにより、私たちの体内に免疫を作り出します。
造血細胞移植後の二次性免疫不全状態においては、さまざまな感染症に罹患する可能性が高い状態にあります。移植前に自然感染もしくは予防接種によって得られた免疫能が経年的に低下もしくは消失することが分かっており、予防接種による予防や症状の軽減が期待されるものに関しては、接種することがすすめられています。
不活化ワクチン(インフルエンザや四種混合ワクチン)から開始し、弱毒生ワクチンを接種します。しかし、免疫抑制剤を服用中や、調子が悪いときには接種を受けられないことがあります。
接種が望ましいワクチン
「不活化ワクチン」
インフルエンザHA:移植後6~12ヵ月以降で毎年1回(10~12月頃)
四種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ):移植後6~12ヵ月以降、3回接種
インフルエンザ菌b型・肺炎球菌:移植後6~12ヵ月以降、1~3ヵ月毎に3回接種
「弱毒生ワクチン」
MR(麻疹・風疹)・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)・水痘(水ぼうそう):移植後2年以降、1ヵ月以上あけて2回接種
必要に応じて接種を検討するワクチン
「不活化ワクチン」
B型肝炎ウイルス:移植後1年以降で家族にキャリアがいる場合、1ヵ月毎2回、6ヵ月後に1回、計3回接種
A型肝炎ウイルス・狂犬病ウイルス・日本脳炎ウイルス:移植後1年以降で流行地への渡航の際に推奨
接種すべきでないワクチン
「弱毒生ワクチン」
結核菌(BCG):全ての時期で接種しない