“小児がん”ってどんな病気?開催レポート2

気分はドクター!? 本物の医療器具を使って検査・手術を模擬体験

午後は先生方の指導のもと検査や手術を模擬体験。その準備知識として、同センター外科医長・小児がんセンター長の北河徳彦先生が、『“小児がん”はこうやって見つける!治す!』をテーマにレクチャーを行いました。小児がんを見つけるための検査は、「まずエコー検査を行い、さらに詳しい検査としてCTなどのレントゲンで体の中を映し出しがんのある場所を特定。次に、血液腫瘍内科でお腹を切りがんと疑われる細胞を取り出し、病理検査科の先生がその細胞を顕微鏡で見て病気が確定します」という、治療に至る検査の流れを紹介していただきました。

北河徳彦先生は、小児がんの検査映像を見ながら検査方法などを解説。

いよいよ、子どもたちが楽しみにしていた模擬体験へ。今回の体験は、(1)がんの細胞を顕微鏡で見てみよう(2)エコー検査を体験してみよう(3)模擬手術を体験しよう(4)内視鏡をのぞいてみようの4種類です。

(1)がんの細胞を顕微鏡で見てみよう

病理検査科の先生にご協力いただき、顕微鏡をのぞきながら様々ながんの細胞を観察し、がんの種類ごとに細胞の特徴を説明。「顕微鏡を両目で見るのが難しい!」という声も聞かれました。

先生の説明を受けながら初めて見るがん細胞に興味津々。

(2)エコー検査を体験してみよう

2人1組になり、検査を受ける人はベッドに腹部を出して横になり、検査を行う人はゼリーをつけたプローブをお腹に当て、モニターに映る心臓、肝臓、腎臓の様子を観察。「自分の心臓の動きをチェックして!心臓が動くことで全身に血液が送られるんだよ」という先生の説明に興味深く耳を傾けていました。

自分の臓器が動く様子を観察する新鮮体験。プローブの扱いは想像以上にスムーズでした。

(3)模擬手術を体験しよう

子どもたちは手術着に着替え、手術の傷口を縫い合わせる「縫合」を体験。針とピンセットを使い縫合する糸の結び方を教わる子どもたちの表情は真剣そのもの。さらに腹腔鏡手術の模擬体験では、モニターを見ながら内視鏡を操り、先端についたはさみでビーズをつかみ棒に刺していく作業にトライしました。

ガウン、帽子、手袋、マスクを着けて手術の準備は万端!?

器用にピンセットを操り、初めての「縫合」をクリア。「上手だね!」と先生からお墨付きが。

腹腔鏡を使いこなすのは至難の業。日々手術を行うドクターに尊敬のまなざしが向けられました。

(4)内視鏡をのぞいてみよう

用意されたのはお腹の中を模した箱。この箱の中には大腸のような細いトンネルがあり、上下左右に方向を変えるアングルノブを左手で操作し、右手でレンズがついた内視鏡の先を持ちモニターを見ながらトンネルの中に挿入、箱の中にあるシールを探します。

本物の内視鏡を扱える貴重な機会、曲がりくねったトンネルの中に内視鏡を挿入するのに悪戦苦闘。

すべてのプログラムを終えた子どもたちは、座学と体験を通して楽しく、正しく小児がんと向き合い、今できることを前向きに考える時間を過ごせたようです。笑顔で記念写真を撮り、全員に「参加証明書」が発行されました。

子どもたちと先生方、スタッフも交えて記念撮影。

支援の輪を広げるには、まず小児がんに興味を持ち病気を理解することが第一歩。本講座でそれぞれが感じたこと、できることを持ち帰り、学校、家庭、地域でレモネードスタンドなどの活動を広げてくれることを期待したいです。支援のバトンを手に会場を後にする子どもたちの背中が頼もしく見えました。


イベントタイトル:神奈川県立こども医療センター 夏休み公開講座 もっと知ってほしい小児がんのこと~“小児がん”ってどんな病気?小児がん治療・支援を体験しよう!~

開催日時:2019年8月10日(土) 10:00-15:00

会場:神奈川県立こども医療センター 本館 2F 講堂

共催:神奈川県立こども医療センター / 認定NPO法人キャンサーネットジャパン

協賛:メディデータ・ソリューションズ株式会社

協力:メドライン・ジャパン合同会社

後援:神奈川県 / 横浜市医療局 / 若年性がん患者団体STAND UP!!

参加者:43名(小学生24名、中学生12名、高校生7名)

見学者:40名