移植治療について

治療中に行う検査

 治療中に行う検査

血液疾患の治療中には、確定診断や治療方針を決めるための検査、化学療法中に行う検査、移植の前後で行う検査があります。入院治療中には、身体がつらいときでも検査をしなければならないこともあります。検査の目的を理解しておくと、検査結果に伴う生活上の工夫や回復の目途を理解するのに役立ちます。

血液検査

血液検査は、血液疾患で治療をする上では日常的に行われる検査です。血液中に含まれる成分を調べることによって、身体の異常を検出する方法の一つです。

末梢血検査:赤血球数やヘモグロビン(Hb)値は貧血の目安になり、赤血球輸血の判断基準にも用います。白血球数(WBC)は感染症(特に細菌感染症)発症リスクの目安になり、抗菌剤投与または中止の判断にも参考になります。血小板数(Plt)は出血リスクの目安になり、血小板輸血の判断基準にも用います。

白血球分画:血液像ともいい、白血病細胞(芽球、blast)の比率がわかります。また、感染症合併時には細菌感染かウイルス感染か、鑑別診断の参考になります。

生化学検査:栄養状態の評価(アルブミンや総タンパク)、塩分などの電解質のバランスのチェック(Na、K、Clなど)、腎機能(BUN、Cr)や肝機能(ビリルビン、AST、ALT、LDH、γ-GTP、ALPなど)の評価に有用です。血糖値は糖尿病の有無だけでなく、感染症の合併や補液(点滴)内容でも影響を受けます。

血液培養検査:好中球減少期の発熱時に、敗血症を疑って行います。採血された血液は、細菌検査室で菌の培養検査が行われます。適切な抗菌剤投与に必要です。

骨髄検査

末梢血液像に異常があり、その原因が骨髄にあると考えられる場合や、骨髄での造血異常の程度を確認するために、骨髄検査が行われます。主に腸骨(腰の骨)から経皮的に骨髄液や骨髄組織を採取する検査で、造血器腫瘍の診断や病型分類に必須の検査です。さらに、骨髄液の一部を用いて、白血病に関連する染色体検査や遺伝子検査も行います。

検査の手順は同じですが、骨髄液を採取する*骨髄穿刺*と骨髄組織を採取する*骨髄生検*とがあります。

細胞表面マーカー検査

急性白血病の亜分類診断に必要です。骨髄液または血液を用いて、フローサイトメーターという検査機器を使って解析します。

染色体検査

白血病の一部には、白血病細胞の増殖や発病に関係している染色体異常を持っている例があります。特殊な方法を用いて専門家が分析します。

遺伝子検査

白血病の一部には、白血病細胞の増殖や発病に関係している遺伝子異常を持っている例があります。抗がん剤が効きやすい白血病、分子標的薬の適応になる白血病、再発のリスクが高い白血病など、遺伝子検査で明らかになる場合があります。

尿検査

腎臓機能の評価を目的として行います。尿路感染症が疑われる場合には、細菌検査やウイルス検査を行います。

便検査

便潜血は消化管出血のスクリーニングに役立ちます。下痢の場合は細菌検査などを行います。

胸部レントゲン検査

肺炎などの合併症をチェックします。

肺機能検査

移植前に臓器障害の評価の一つとして行います。主に、閉塞性障害(空気の通りが悪い)と拘束性障害(肺のふくらみが悪い)に区別されます。

心電図検査

移植までに受けられた抗がん剤治療の影響や不整脈のチェックを目的として行います。

心臓超音波検査

心機能の精密検査で、移植前臓器障害の評価に役立ちます。

髄液検査

中枢神経系への白血病浸潤をチェックする方法の一つです。腰椎の間から脳脊髄液を採取して、細胞診などを行います。骨髄検査と混同されることがありますが、全く別の検査です。

CT検査

頭部から腹部まで、目的に応じて検査を行います。肺炎の精査では胸部CT検査を行い、お腹の症状の精査では腹部CT検査を行います。

MRI検査

CT検査と同じように、目的に応じていろいろな部位の検査を行います。CT検査よりも病変がわかりやすい部位(脳脊髄など)もあります。

骨塩定量検査

骨粗しょう症の検査です。長期のステロイドホルモン服用によって骨塩が減少することがあります。

PET-CT検査

PETとは、positron emission tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬剤を用いる核医学検査の一つです。固形腫瘍の大きさや部位について、一度に全身調べることが可能ですが、白血病などは一般に検査対象になりません。

上部消化管内視鏡検査

食道、胃、十二指腸の粘膜の状態を観察します。炎症や腫瘍の診断に役立ちます。

下部消化管内視鏡検査

主に大腸粘膜の状態を観察します。炎症、GVHD、腫瘍の診断に役立ちます。