移植治療について

血液の基礎知識

私たちの体内の血液量は体型や年齢・性別により個人差があるものの体重の約8%で、このうち約10%は肝臓や脾臓に貯められ、残りが体内を循環しています。その循環血液量は男性で75mL/kg前後、女性で65mL/kg前後と言われ、例えば体重60kgの成人男性で約4,500mL、体重50kgの成人女性で約3,250mLもの血液が体の中を常に循環している、ということになります。

血液には白血球・赤血球・血小板といった細胞成分(約45%)とアルブミンやグロブリンなどのタンパク質の他、電解質・糖・脂質を含む液体成分の血漿(約55%)とがあり、いずれも生命を維持するために大切な役割を果たしています。

白血球

成人では血液1μL中に約7,500個の白血球が存在します。白血球は赤血球よりも大きく、核を持っています。顆粒球、単球及びリンパ球からなり、前者二つは骨髄で、後者は主としてリンパ組織で産生されます。顆粒球は細胞質内の顆粒の染色性によって好中球、好酸球、好塩基球に分けられます。

好中球

白血球の50~70%を占める細胞です。体内の組織で細菌・真菌などによる感染が起こると血管内から組織に遊走(移動)し、貪食(取り込み)・殺菌します。

血液疾患の中には好中球がうまく作れない患者さん(主に白血病や再生不良性貧血)や抗がん剤などの治療に伴って好中球が減少することがあり、血液中の好中球が2,000/µLより少なくなってしまうことがあります。この状態を「好中球減少症」と呼び、更に500/μL未満になると重症な感染症を起こす危険もあるため、厳重な注意が必要となります。

リンパ球

白血球の20~40%を占める細胞です。ウイルスの感染を防ぎ、ある種のがん細胞を発見し破壊するTリンパ球、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)と抗体をつくる細胞に変化するBリンパ球の3つの種類があります。

単球

白血球の3~6%を占める大型の細胞です。好中球と同様、病原体や異物を貪食(取り込み)、殺菌能を持つだけでなく、異物の抗原を細胞表面に提示(抗原提示)する働きもあります。単球は、血管外に出るとマクロファージと呼ばれる食細胞に変化します。

好酸球

白血球の2~5%を占めます。寄生虫感染症、アレルギー疾患、悪性腫瘍などで末梢血中の好酸球が増加することが知られています。

好塩基球

白血球の0~1%を占めるにすぎない細胞です。好塩基球の顆粒の中には、ヒスタミンやヘパリンなどの活性物質が含まれています。体の外部からアレルギー物質(抗原)が侵入して細胞表面のIgE受容体に結合すると、顆粒の中から活性物質が放出され、アレルギー反応や炎症反応を起こします。

赤血球

血液中の細胞(血球)の中で最も多く、およそ96%を占めています。

細胞の内部に大量のヘモグロビンを含み、酸素を全身の組織に運搬する役割を果たしています。ヒトの赤血球の寿命は約120日と言われ、骨髄では休みなく造血幹細胞の分裂が繰り返され新しい赤血球が補充されています。

血小板

血小板は、血液1μL中およそ15万~40万個あります。血小板の大事な役割は、出血を抑える作用(止血)です。一般に、血小板減少とは、血小板数が血液1μL中10万未満になった状態を指し、更に5万/μL以下になると出血傾向が明らかになり、血小板数が1万~2万/μL以下に低下すると、口腔内出血、鼻出血、下血、血尿、頭蓋内出血などの重篤な出血症状が出現すると言われています。