治療にかかる費用について

最近、新たながん治療薬の開発などで話題になっている「がんの治療費」。漠然と、がん治療には高額な費用がかかると不安な方も多いのではないでしょうか。日本では、国民皆保険制度により、すべての国民がいずれかの健康保険に加入しているため、健康保険証を提示すれば、全国どこの医療機関でも定められた自己負担分で治療を受けることができます。

しかし、血液疾患のように闘病・入院期間が長期化する場合、治療費の自己負担分もかなり高額になったり、治療に伴い収入に影響がある場合などを含め、治療にかかる費用は大きな問題となるケースが少なくありません。

まずは、治療にかかる費用について見て行きましょう。

治療にかかる費用として、大きく分けて「直接治療にかかるお金」と、「その他にかかるお金」があります。

「直接治療にかかるお金」としては、診察代(初診・再診料)、検査料、処置料、手術費用、薬剤料などが挙げられます。「その他にかかるお金」としては、入院費用、個室を利用した際には差額ベッド代、交通費や、診断書・その他書類作成費がかかる場合もあります。

健康保険が適応されない医療行為もあります。それらは自由診療(自費診療)といいます。健康診断や歯列矯正、美容整形などです。通常、一つの診療の中で保険診療と自由診療が行われること(混合診療)は認められず、この場合、保険診療分を含めた全体が自由診療となります。つまり、保険適応されていない薬剤を使用した場合は、診療や検査にかかった費用も原則としては全額自己負担の自費診療となる、という仕組みがあります。

血液のがんの場合、骨髄バンクを介して移植を希望される患者さん・ご家族には、コーディネートの各過程における料金の負担があります。非血縁者間骨髄移植における日本骨髄バンクに支払う経費(患者負担金)が代表的です。その他にも、民間の救急車(患者移送車)などもあります。これらは、本質的には直接請求者に支払うもので、お金の受け渡しには病院に関係なく行われるものです。骨髄の運搬費や患者さんの移送費などは加入している保険会社に請求すると療養費として後から支払いを受けることができます。

例)日本骨髄バンクから移植に至った患者の負担金額はおよそ147,000円

その他に、提供するドナーが採取のために入院する場合に差額ベッド代等が発生した場合は、骨髄バンクを介さず、採取施設から移植施設に直接請求されます。

移植に限らず、血液疾患の治療には高額な医療費を請求されることが多く、不安に感じることが多いことと思います。しかし、ご安心ください。医療費の負担軽減のための制度や支援

対策があります。特に経済的なことは一人で悩みがちですが、決して一人では悩まずに、主治医や看護師、移植コーディネーター、医療ソーシャルワーカー(MSW)医療相談室、医事課などにご相談ください。この後、受けられる経済的支援について簡単にご紹介します。