インタビュー

神奈川県での造血幹細胞移植の現状について

2018年6月6日
神奈川県立がんセンター企画情報部長(兼)血液内科部長(兼)
金森 平和先生

造血幹細胞移植治療に携わられている金森先生に、神奈川県での移植治療や先生のことについてお聞きしました。

今日は造血幹細胞移植総合支援プログラム Start to Be(スタート・トゥー・ビー)の総監修をしてくださっている神奈川県立がんセンターの金森先生にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

神奈川県についてお伺いしたいんですが、県内で移植ができる医療機関というのは何軒くらいあるんでしょうか?

同種移植ということに限らせていただくと、内科と小児科を合わせて11施設だと思います。

11施設で年間にどれくらいの移植治療が行われているのでしょうか?

TRUMP(移植登録一元管理プログラム)の登録を見ますと、大体神奈川県で同種移植が200例前後、だと思います。

神奈川県立がんセンターで行われている移植症例数はどのくらいですか?

新病院になってから増えて今年間、50件から55件ぐらいになっています。

移植治療の入院期間は、およそどのくらいなのでしょうか?

当院は成人だけを対象としてますけども、ここ2年ぐらいの平均入院期間はだいたい70日ぐらいですね。早い方だと35日ぐらい、やれ合併症とかがありますと、2ヶ月、3ヶ月という風に伸びてはきます。

一度退院されると、すっかり治って再入院されることなどはないのでしょうか?

全員そうなればよろしいんですが、やはり再発、あるいは合併症、合併症の多くは感染症ですね、肺炎で一時的に2週間入院されたりとかそういう方も中にいらっしゃいますので、どのくらいの頻度かっていうことは、今、正確なことを申し上げられませんが、一部の方は入院をされる方がいます。

同種移植は健常なドナーからの造血細胞の提供があって初めて成り立つ医療ですが、提供してもらうドナーはどのように決めるのでしょうか?

そうですね、まず血縁者で特に同胞、ご兄弟の方がいらっしゃれば、骨髄提供の意思が確認できれば、HLAで検査を勧めますね。ご兄弟がいらっしゃらない、あるいはHLAの不一致の場合には、次に骨髄バンクドナー、骨髄バンクに登録をされているドナーさんから提供を受ける、あるいは臍帯血バンクに登録されている凍結されている臍帯血を利用するという順になると思います。

臍帯血移植と骨髄バンクドナー、血縁ドナーとありますが、ドナーによる違いがあるのでしょうか。

まず患者さん側から見ると、兄弟間でドナーさんがいればやはり患者さんにタイミングよく移植日を設定することが出来ますし、病気の種類状況によっては骨髄であるか末梢血幹細胞であるか、ある程度選択ができるという場合もありますね。または非血縁ドナーからの場合、骨髄バンクと臍帯血であれば、やはり日程の調整が特に骨髄バンクドナーさんの場合は、ドナーさんの都合を第一優先ですので、移植日の日程調整に少し時間がかかるという点はあります。病気の進行が早くてしかも血縁者ドナーがいらっしゃらないという場合には、臍帯血に適切な臍帯血ユニットが保存されていれば、そちらを優先して移植を行うということがあります。ドナーさんから見た場合には骨髄か末梢血幹かによって方法がだいぶ違いますので、そこはあのドナーさんの選択を優先されるということが多いと思います。

子供と大人は治療を受ける診療科や病院が違うと思いますが、そのはざまであるAYA世代(若年成人)の患者さんは、どこで治療を受けることが望ましいのでしょうか?

AYA世代という定義は多少幅がありますけど、今だいたい15歳からまあ40歳未満の幅がありますが、日本の教育のシステムからいくと中学生までが、小児科の先生が見ることが多くて、高校生以上は内科で見ることが多いですね。ですからどちらで移植を受けたらっていうことも重要ですけども、それまでの治療を受けてた病院で継続して移植を受けられる場合もありますから、中学生の時に発病して高校生の時に小児病院で移植を受けられる場合もあるかもしれませんが、多くは年齢で区別して15歳までは小児科病院、それ以上は内科病院、内科施設、ということが多いと思います。それはやはり病院そのものの全体の対応ですね。まあベッドの大きさは関係ないと思いますが、いろんなスタッフとかいろんな周りの患者さんとかの環境も大事ですので、今そういうふうに大きく分けられてるというのが実情だといます。

小児と成人の治療は違うのでしょうか?

病気の種類とかによって違います。例えば抗がん剤治療、化学療法ですね、急性リンパ性白血病等であればやはり小児科の治療はかなり強い治療を行ってます。それによって非常に抗がん剤治療で良い成績が得られてるので、内科の領域でも小児科の、まあプロトコール(治療法)に準じた形でAYA世代を治療しましょうと、まあ小児科のグループと一緒に、今そういう臨床研究を進めてることがあります。ただし疾患によってはやはりもともと小児向けの治療と内科患者成人向けの治療が異なる場合も多いと思います。

神奈川県では、ドナーさんの採取はどのくらいされているのでしょうか?

骨髄バンクの採取は年間多分50から60ぐらいではないでしょうか。血縁もおそらく同じぐらいの数はされてるということになると思います。

ドナーの採取は、骨髄採取と末梢血からの採取の方法がありますが、それはどのように決められるものなのでしょうか?

骨髄バンクを例にとれば、これもまもちろんドナーさんの選択によります。現場ではまだ日本では骨髄バンクのドナーさんの数パーセントが末梢血幹細胞を選ばれてるので、アメリカがボランティアドナーさんの60%が末梢血を提供されているのとは、かなり事情が違うと思います。その背景は歴史的に日本では骨髄バンクの末梢血幹細胞に関して、制度の保険収載が遅れて2010年から始まったばかりなので、そういう意味ではまだあの骨髄バンクドナー=(イコール)骨髄というイメージが強くて末梢血幹細胞提供というのはちょっと宣伝と言うか、周知がまだ十分ではないのかもしれません。

骨髄提供と末梢血幹細胞の提供とありますが、それぞれの入院期間などに違いがあれば教えてください。

そうですね、骨髄提供の場合は入院期間は多くは三泊四日です。骨髄バンクのデータを見ても75%の施設は三泊四日、末梢血幹細胞の場合は、血幹細胞を血液中に骨髄からまあ導引するって言うんですが、そのためのお薬、GCSFってお薬を皮下注射、それがだいたい4日から5日必要なので、その期間に入院されるか、外来で通って注射されるかによって異なりますが、骨髄バンクの場合も現在はドナーさんの安全を確認するために入院を勧めている施設が多いので、やっぱり5日から6日の入院は必要だと思います。

臍帯血を提供したい場合、神奈川県でもできるのでしょうか?

はいもちろんできます。神奈川県内でも採取施設はあります。採取施設はいわゆる公的バンクです。臍帯血バンクと契約をとられている施設が9施設あります。

金森先生は、どうして血液内科の先生になろうと思われたのでしょうか?

医学部の学生の時に、今から40年近く前になりますけども、やはりその頃白血病ということ自体がすごい新鮮な響きを持って聞こえましたし、まあ実際にベッドサイドの実習で若い患者さんがなかなか治らないというところも見させていただいて、まあ血液の分野に進もうと学生の最後の時には決めてました。

血液内科の先生をしていて、良かったと思う事はどんな時ですか?

他の病気をみても同じですが、なかなか難しい病気の方が治って元気になって、手紙をいただいたり、外来で元気な姿、結婚されてご家族と一緒に受診されたりすると、そういう時は治療してて患者さんと向き合って良かったという風に思います。

これから移植をするという患者さんは、とても多くの不安を抱えていると思います。ご家族も同じだと思いますが、金森先生は、患者さんやご家族にどのような心構えで移植に臨まれるのが良いとお考えでしょうか

個々の患者さんでだいたい初診の時にお会いするんですけども、それぞれ違う悩みを抱えてもちろん病気を治すというのは大きな目標ですけども、それ以外に家族の中でどういうふうに対応したらいいのか、あるいはドナーさんが血縁の場合にはドナーの心配も、例えば若い方で患者さんがお兄さん、ドナーさんが弟さんですと、両親としてはもう二人を同時に心配するということはありますけども、そういうことも含めて病気を治すのは我々の一つの仕事ですけども、まあ患者さんの生活であったり家族関係だったり、仕事をしていれば無事社会復帰をしていただくとか、学生あればまた学校に戻っていただく、そういうところまでを目標にして治療しましょうということで、まあ難しい病気であることは恐らく患者さん家族は今のこの情報社会なので把握してますからチームで全力で、看護スタッフも専門職がたくさんいるので、最大限努力しますという形でいつも応援するような形で話はしています。

骨髄バンクのドナーさんは、他の患者さんのために提供されるわけですが、そのドナーさんのご家族は不安を抱えていると思うんですね。そういった方々へのアドバイスはありますでしょうか?

こればかりは強要できない話ですので、提供するために登録されて、話が提供に進んだ時に、やはりご本人も心配あるいは悩まれてる部分もあると思いますけども、最終的なご本人の意思を尊重していただきたいなとは思います。ただ日本の今のシステムですと、ご家族の同意がないとそこから先へは進めないのが日本のシステムで、これはアメリカとは異なりますので日本のシステムに従って、やはり家族の同意を得るというのが原則です。その不安とか心配をどうしたら払拭できるかっていうのは、やはりいろんな資料あるいは話をですね直接に伺ったりしていただいて、具体的な実態を知っていただくということが、一番その不安や心配な要素を取り除くのに有用であるのではないかなという風に思います。ただやっぱり概念だけ頭の中で進んでしまうとやっぱり不安だけが大きくなってしまうってことが色んな別のことでもあると思いますので、実際具体的な資料、やっぱりいろんな情報を知っていただくというのが、不安を払拭するのに繋がるんではないかなって思います。

骨髄バンクを通してドナーになられる方のご家族が、病院へ相談できるものなのでしょうか?

直接を受けてないんですが、一般的な話として相談に乗ることは可能だと思います。ただ骨髄バンクの場合にはやっぱり骨髄バンクを介した形で何らかのアプローチをしていただくのが入っておりますね。ただ血縁者の場合は今多くの施設に移植のコーディネーター = HCTC という方が配置されつつありますので、そういう形に第三者的な立場を保つという位置づけでもあるので、ドナーの心配を主治医にするのは難しい場合もありますから、そのコーディネーターに相談されるのは一番いいかもしれません。

これまでの間に、神奈川県内外で造血幹細胞移植治療を受けられた多くの患者さんが、キャンサー サバイバーとして社会復帰されていますが、移植治療の経過は決して順風満帆とは言えない場合も多いと思います。神奈川県内の皆さんへ、この「Start to Be」のサイトを活用していただけるよう、金森先生からコメントをお願いします。

まあサイトをご覧になっていただければ分かると思うんですが、患者さんあるいは家族、それからドナーになる方、全ての方に少しでも活用していただけるような内容になっているんじゃないかと思いますので、まあ移植、造血幹細胞移植という言葉に興味を持たれた方は学生さんであっても社会人であっても、まあご家族であってもですね、患者さん自身も含めてちょっと覗いていただいて自分に必要なところですね、つまみぐいで全然いいと思うんですが、見ていただいて次のステップになるような題材が含まれてるといますので、まずは見ていただくということなんじゃないかなと思います。

ありがとうございました。