家族にとっての移植とは

家族に移植が必要なほどの病気を抱えている人がいるということは、家族にも個人差はあれ様々な影響があります。心配で夜も眠れなかったり(精神的)、不安で食事がとれずやせてしまったり(身体的)、お見舞いのために仕事を休んだり(社会的)といった影響です。こういった影響は、家族が病気の場合には多くの人が感じる影響だと思います。中でも、移植が必要な病気になるとは、どういうことなのでしょうか。

まず一つ目に、移植という治療にはドナーが必要です。ドナーは臍帯血バンクや骨髄バンクから探す場合もありますが、多くの場合は家族の中から選ばれます。家族のドナーになることは家族の中に医療の対象となる人が2人いるということです。

ドナーになる家族は、家族を心配しながらも自分の不安を口にだせなかったり、けがをしないように気を付けなければいけないと感じたりします。ドナーになれない家族は自分がドナーになりたかったと感じたり無力感を感じたりすることがあります。その感じ方は様々で10人いたら10種類の家族の感情があります。それは、どれも否定される感情ではありません。どんな風に思っても、それが家族の正直な感情です。家族が病気になるということは大きな衝撃であり、そこで様々な感情が揺れ動くことは当たり前のことです。

二つ目に、移植は治療期間が長く、様々な合併症が伴うということです。一般的な入院よりも期間が長くかかります。退院した後も免疫抑制剤を飲んでいるため食事に制限があったり、体力や食欲、味覚や容姿がなかなか戻らなかったりすることがあります。3歩進んで2歩さがるような経過を進むこともあるため、家族としてはもどかしい気持ちになることもあるでしょう。「せっかく熱がさがったのにまた…」、「せっかく下痢がおさまったのに今度は…」と感じることもあります。

そのように思うのは家族のことを心配している、思いやっているからです。そう思ってくれる家族がそばにいてくれることは、移植を受ける人にとってとても大きな存在です。その存在が大いに助けになるでしょう。しかし、治療の期間が長いということは、家族にとっても心配な期間が長くなるということです。

家族もずっとがんばり続けてしまうと疲れたり、体調を崩したりすることもあるかもしれません。家族が病気だと、「私は大丈夫だから。」と頑張りすぎてしまう方もいらっしゃいます。どうかご自身の事も大切にしてください。それは、移植を頑張っている方のためでもあるのです。

移植を受ける方のご家族にひとつお願いがあります。もし、あなたの大切な家族が移植治療を受けていることで困ったり苦しかったり、悩んだりしたときには周りの人に相談してください。一人で悩みを抱え込むことがないようにしてください。誰かに話を聴いてもらう事で、気持ちが楽になる場合があります。

がん診療連携拠点病院

全国どこでも質の高いがん医療を提供できるよう、都道府県知事からの推薦に基づき、厚生労働大臣が指定する病院で、原則として二次保健医療圏に1か所ずつ整備する「地域がん診療連携拠点病院」と、都道府県において中心的な役割を担う「都道府県がん診療連携拠点病院」があります。

いずれも専門的ながん医療や緩和ケアの提供、地域のがん医療を担う医療機関との連携、がん患者に対する相談支援や情報提供など、質の高いがん医療を提供する役割を担っています。現在、神奈川県内では、地域がん診療連携拠点病院として各二次保健医療圏に計17病院が、都道府県がん診療連携拠点病院として「神奈川県立がんセンター」が指定されています。

各施設にはがん相談窓口が設置されています。詳細は神奈川県のホームページをご覧ください。